
2026.11.03 文・川崎 誠
写真のお墓は、奥の台石が長い年月で黒ずんでいます。手前のろうそく立てと香炉は、色の明るい新しい石です。古いお墓は、こうして古い石と新しい石が並びながら守られていることがよくあります。
古い墓石が傷みやすい理由
昔の墓石は、近くの山で採れた石で作られていることがあります。今の墓石によく使われる硬い御影石に比べ、やわらかく、水を吸いやすい石もあります。
水を吸う石は、苔や黒ずみがつきやすく、冬に中の水が凍ったりとけたりをくり返すと、表面がはがれたり、角が欠けたりします。文字がかすれるのも、同じ理由です。
掃除は、水とやわらかい道具だけで
古い墓石の掃除は、水をかけて、やわらかいスポンジか、毛のやわらかいブラシでなでる程度にします。黒ずみが少し残っても、無理に白くしようとしないこと。
使わないもの:金属たわし、硬いブラシ、高圧洗浄機、酸性や塩素系の洗剤、漂白剤、クレンザー。表面を削ったり、石の色を変えたりして、元に戻せなくなります(「お墓の苔の落とし方」「墓石の汚れ別の落とし方」の記事)。
表面がぼろぼろとはがれる石は、こすらずに水をかけるだけにして、石材店に見てもらいます。
欠け・ひび・傾きを見つけたら
欠けたかけらを、自分で接着剤で付けないでください。合わない接着剤は、あとで石材店が直すときの妨げになります。かけらは捨てずに、袋に入れて取っておきます。
ひびや傾きは、写真を撮って記録します。正面、横、ひびの寄り。次に行ったときに同じ場所から撮ると、進んでいるかどうかが分かります。傾いた墓石は倒れることがあるので、寄りかかったり、揺すって確かめたりしないこと(「お墓の傷みのサイン」の記事)。
読めない文字を確かめたいとき
かすれた文字は、水をかけて濡らすと、彫りの部分の色が変わって読みやすくなることがあります。朝や夕方の、横から差す光で写真を撮ると、彫りの影が出て読めることもあります。
墨や粉を塗って紙に写す方法は、石に色が残ったり、表面を傷めたりすることがあるので、自分ではしないほうが安心です。
文字そのものより、誰のお墓かを知りたいなら、親戚に聞く、お寺の記録(過去帳)を見せてもらえないか相談する、墓地の管理者に台帳を確かめてもらう、といった方法もあります(「墓誌とは」の記事)。
直す、足す、建て替える
直す:表面のクリーニング、目地の詰め直し、傾きの据え直し、文字の彫り直しや色入れ。石材店に頼む修繕です。
足す:香炉、花立て、ろうそく立てなど、使う部分だけを新しくする方法です。古い墓石はそのままに、お参りしやすくなります。
建て替える:墓石が大きく傷んでいる、何基もある古い墓石を一つにまとめたい、というときの選択です。古い墓石を動かしたり処分したりする前に、お寺に相談し、法要をするかどうかを決めます(宗派によって呼び方や考え方が違います)。
どれにするかは、費用だけでなく、親戚の気持ちも大きく関わります。古いお墓は、多くの人が「あのお墓」として覚えているものです。決める前に、関わりのある親戚に一言伝えておくと、あとで行き違いになりません。
つなぐのお参りでは
つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。古いお墓の掃除は、水とやわらかい道具だけで行い、石を削るような掃除はしません。欠けやひび、傾きに気づいたときは、写真でご家族にお伝えします。直すかどうかを考える材料にしてください。
よくある質問
問:黒ずみを、きれいに白く戻せますか。——答:古い石は、自分で白くしようとすると傷めることがあります。どうしてもという場合は、石材店にクリーニングを相談してください。
問:文字がほとんど読めません。彫り直したほうがいいですか。——答:急ぐ必要はありません。誰のお墓かが分かっていれば、そのままでも構いません。彫り直すなら、石材店とお寺に相談します。
問:古い墓石が何基も並んでいて、掃除が大変です。——答:一つにまとめる方法もありますが、親戚とお寺への相談が先です。それまでは、年に一度でも水をかけて手を合わせるだけで十分です。
まとめ
古い墓石は、やわらかく水を吸う石のことがあり、傷みやすい。掃除は水とやわらかい道具だけで、白くしようとしない。欠けは自分で付けず、ひびや傾きは写真で記録して石材店へ。読めない文字は、濡らす・横からの光で撮る。直す・足す・建て替えるは、お寺と親戚に相談してから。