
2026.11.02 文・川崎 誠
一人で行っても、まったく構いません
お墓参りに、何人で行かなければいけないという決まりはありません。家族そろって行く日も、一人でふらりと寄る日も、手を合わせることに変わりはありません。
むしろ一人のほうが、自分のペースで掃除ができ、ゆっくり手を合わせられる、という方もいます。「一人で来てごめんね」と思う必要はありません。
荷物は、両手が空く量に
一人だと、荷物を持つ手も一人分です。水は墓地の手桶を借りる。掃除道具は、年に何度か行くなら現地に置いておく(「お墓の掃除道具を現地に置く」の記事)。花とお線香、ろうそく、ライター、軍手、ごみ袋。これをリュックか肩掛けのかばんに入れると、両手が空きます。
両手が空いていると、石段や坂で手すりを持てます。花を持つのは、墓地に着いてからで十分です。
一人のときの段取り
やることを先に絞っておくと、一人でも疲れません。①古い花とごみを片づける。②区画の草と落ち葉を拾う。③墓石に水をかけて拭く。④花を供え、お線香をあげる。⑤手を合わせる。
全部できない日は、①と④と⑤だけでも十分です。草取りや苔の掃除は、次の日か、次に行く人に回します。一人で全部やろうとしないことが、続けるこつです。
水鉢や花立てがずれている、石が傾いている。そんなときも、一人で持ち上げないでください。写真を撮って、家族や石材店に相談します(「お墓の花立て・水鉢・香炉が壊れたら」の記事)。
山や遠くの墓地では、行き先を伝えてから
山の墓地や、人の少ない墓地に一人で行くときは、出かける前に家族の誰かに「今日、◯◯のお墓に行く。◯時ごろ帰る」と一言送っておきます。足をくじいた、車がぬかるみにはまった、というときに、誰かが知っているだけで安心です。
石垣や古い石段は、苔で滑ります。夏は暑さ、秋から冬は日暮れの早さに気をつけて、明るいうちに帰ります(「田舎の山の墓地・集落の共同墓地へのお墓参り」の記事)。体調がすぐれない日は、日を改めて構いません。
手を合わせるとき
一人のときは、声に出して話しかけてもいいのです。「来たよ」「みんな元気にしてる」「今年はこんなことがあった」。周りに人がいて気になるなら、心の中で。
話すことが思いつかなければ、家族一人ひとりの名前と近況を順に伝えるだけでも、立派な報告になります。
一人で行っても、家族とつなげる
帰る前に、きれいになったお墓と供えた花を写真に撮って、家族に送ります。「行ってきたよ」の一言と写真があるだけで、行けなかった家族も、お墓の様子が分かります(「お墓参りの写真を、行けなかった家族にどう送るか」の記事)。
手を合わせるときだけ、ビデオ通話で家族をつなぐ方法もあります。一人で立っているお墓の前に、遠くの家族が加わります(「ビデオ通話でお墓参りをするとき」の記事)。
一人で行くのがつらくなったら
年齢や体力、仕事、あるいは気持ちの面で、一人のお参りが重くなることがあります。それは怠けではありません。続け方を変える時期が来た、ということです。
近くの親戚に掃除だけ頼む(「近くの親戚にお墓の掃除を頼むとき」の記事)。年に一度は家族で日を合わせる。お参りを手伝ってくれる人に頼む。一人で背負わない形はいくつもあります。
つなぐのお参りでは
つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。お墓の前に立つのは私たちですが、手を合わせるのは画面の向こうのご家族と一緒です。一人でお墓を守ってきた方が、たまには任せて、家から手を合わせる。そんな使い方もしていただけます。
よくある質問
問:一人で行くと、なんだか寂しくなります。——答:その気持ちのまま、お墓に話しかけていいと思います。帰り道に家族へ写真を送ると、一人のお参りが家族のお参りになります。
問:一人だと掃除が終わりません。——答:その日にやることを3つに絞ってください。花とごみの片づけ、お供え、手を合わせる。残りは次の機会で構いません。
問:高齢の親が、一人でお墓に行きたがります。——答:止めるより、行き先と帰る時間を教えてもらう約束をするのがおすすめです。坂や段差が心配なら、一度一緒に行って道を確かめておくと安心です(「高齢の親を連れてお墓参りに行くとき」の記事)。
まとめ
お墓参りは一人で行っても構わない。荷物は両手が空く量に、やることは絞って、一人で重い物は動かさない。山や人の少ない墓地では、行き先と帰る時間を家族に伝えてから。手を合わせるときは声に出して話しかけてよい。写真やビデオ通話で、一人のお参りを家族のお参りに。つらくなったら、続け方を変えていい。