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樹木葬とは——種類と費用の目安、埋葬の仕方、お参りの形、決める前に確かめたいこと

樹木葬は、墓石の代わりに木や草花を目印にするお墓です。「自然に還る」という言葉の印象が先に立ちますが、実際は場所も埋葬の仕方も施設ごとに大きく違います。選ぶ前に、何がどう違うのかを知っておくと迷いません。

山の斜面にまっすぐ伸びる木立と、手前にかかる若葉

2026.10.06 文・川崎 誠

永代供養、納骨堂と続けて書いてきました。同じ「お墓を継ぐ人がいなくても大丈夫な形」として、ここ十数年で一気に広がったのが樹木葬です。

この記事では、樹木葬とは何か、種類と費用、埋葬の仕方、お参りの形、決める前に確かめたいことをまとめました。

樹木葬とは

樹木葬は、墓石を建てる代わりに、木や草花を目印にして遺骨を埋葬するお墓です。日本では1999年に岩手県のお寺が始めたのが最初とされ、里山を守る取り組みと結びついた形でした。

大事な点は、樹木葬も「お墓」だということです。遺骨を埋めてよいのは、法律で墓地として許可された場所だけです。自宅の庭や、持っている山に木を植えて埋める、ということはできません。

多くの樹木葬は永代供養がついていて、継ぐ人がいなくても施設が管理と供養を続けます。その意味で、永代供養の一つの形でもあります。

場所で分けると三つ

里山型:山林そのものを墓地にした形。自然の中に埋葬し、木を一本植えるか、もとからある木を目印にします。いちばん「自然に還る」印象に近い一方、市街地から遠く、足元も山道です。

公園型:霊園の一角を芝生や花で整えた形。シンボルになる木のまわりに区画が並びます。駐車場や休憩所があり、高齢の方でも通いやすい。

庭園型:街なかのお寺や霊園の中に、花壇のように作られた形。区画は小さめで、木というより草花やプレートが目印になることが多い。駅から歩ける場所にあります。

「樹木葬」と聞いて山の中の一本の木を思い浮かべていると、見学で庭園型を見て驚くことがあります。まず、どの型なのかを確かめてください。

埋葬の仕方と費用の目安

合祀型:ほかの方の遺骨と同じ場所に埋葬する。1人5万〜20万円。いちばん安いが、あとから遺骨を取り出すことはできません。

集合型:一本のシンボルツリーのまわりに、一人ひとりの区画がある。1人15万〜60万円。小さなプレートに名前を刻むことが多い。

個別型:一つの区画に一本の木、または一家族で一区画。20万〜80万円、広い区画では100万円を超えることもある。

費用は最初に一括で払い、年間管理費はかからない施設が多いですが、個別型では管理費がかかるところもあります。プレートの彫刻代、納骨の作業料、2人目以降の追加料金が別になっていないかも確認してください。

土に還るタイプは、取り出せない

埋葬の方法は、骨壺のまま納める、布の袋に移して納める、遺骨をそのまま土に入れる、の三つがあります。

布袋や直接土に入れる方法は、時間とともに土に還ります。それが樹木葬の良さですが、一度埋葬すると取り出せません。あとから「やはり家のお墓に移したい」「分骨したい」と思っても、できないということです。

骨壺のまま納める施設でも、個別の期間(13年、33年など)が過ぎると合祀に移すところが多くあります。「いつまで個別か」「その後どうなるか」は、永代供養や納骨堂と同じく、必ず聞いておきたい点です。

散骨との違い

樹木葬と散骨は、どちらも「自然に還る」形として並べて語られますが、別のものです。

樹木葬は墓地の中に埋葬するので、お参りする場所が残ります。手続きも普通のお墓と同じで、埋葬許可証(ほかのお墓から移すなら改葬許可証)が必要です。

散骨は、粉にした遺骨を海や山にまく方法で、お墓ではありません。手を合わせる決まった場所は残りません。「お参りする場所がほしいか」が、二つを分ける一番の問いになります。

樹木葬でのお参り

目印の木やプレートの前で、手を合わせます。墓石がないだけで、気持ちは普通のお墓参りと同じです。

違うのは決まりごとです。火事を防ぐため、お線香やろうそくを使えない施設が多くあります。お供え物は持ち帰りが基本で、花も「区画に植えるのは不可、切り花を供えて持ち帰る」という決まりがよくあります。

掃除や草取りは施設がしてくれるので、手ぶらで行けます。ただ、里山型は雨のあとの足元が悪く、夏は虫も多い。歩きやすい靴で、季節を選んで行くことになります。

もう一つ、景色は季節で変わります。花の咲く春に見学して決めると、冬に行ったときの寂しさに驚く方がいます。できれば違う季節にもう一度見てから決めると安心です。

決める前に確かめたいこと

①どの型か(里山・公園・庭園)と、自宅からの行き方。②埋葬の方法(骨壺のままか、土に還るか)と、あとから取り出せるか。③個別の期間と、その後の合祀先。④総額と、別にかかる費用(プレート・納骨・追加の人数・管理費)。⑤何人まで入れるか。夫婦や家族で入りたい場合は特に。⑥木が枯れたとき、区画が荒れたときの対応。⑦お線香・花・お供えの決まり。⑧運営主体(お寺・自治体・民間)と宗派の条件。

そして、家族と話すこと。墓石がないことに抵抗を感じる親族は、いまも少なくありません。本人が望んでいても、残る家族が「どこに手を合わせればいいのか分からない」と感じる形では、お参りが続きません。見学には、できれば一緒に行ってください。

実家のお墓から樹木葬へ移すとき

遠方の実家のお墓を閉じて、樹木葬に移す場合は「改葬」の手続きになります。移し先と契約して受入証明をもらい、いまの墓地の管理者に埋蔵証明をもらい、役所で改葬許可を受け、石材店に遺骨の取り出しと墓石の撤去を頼む。流れは「墓じまいとは」の記事に書いたとおりです。

樹木葬ならではの注意は、遺骨の数です。代々のお墓には何人分もの遺骨が入っていることがあり、樹木葬の区画に全員は入らない、人数分の費用がかかる、ということが起きます。先に、いまのお墓に何人分の遺骨があるかを確かめてから、移し先を探すと手戻りがありません。

つなぐのお参りでは

つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。樹木葬へ移すことを考えているご家族には、移す前の「いまのお墓での最後のお参り」をご一緒し、お墓の様子を写真でお届けできます。「墓石に刻まれた名前を記録しておきたい」「何人分のお骨があるか、お寺に聞く前にお墓の状態を見ておきたい」といった場面でも、お使いいただけます。

よくある質問

問:樹木葬は宗派を問いませんか。——答:多くは宗派不問です。ただしお寺の境内にある樹木葬では、納骨のときの法要をそのお寺の作法で行う、という条件がつくことがあります。

問:ペットと一緒に入れますか。——答:できる施設と、できない施設があります。希望する場合は、最初に確認してください。

問:生前に契約できますか。——答:できる施設が多く、自分で場所を見て決めたいという方が生前に申し込む例が増えています。

まとめ

樹木葬は、墓石の代わりに木や草花を目印にするお墓。場所は里山型・公園型・庭園型、埋葬は合祀・集合・個別に分かれ、費用は5万〜100万円超と幅がある。土に還るタイプは取り出せない。散骨と違い、お参りの場所が残る。火やお供えの決まり、季節による景色の違い、家族の気持ちを確かめてから決める。

木の下で眠る、という言葉はやさしい響きですが、選ぶのは「この先、誰がどう会いに行くか」です。そこから考えると、合う形が見えてきます。

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