
2026.09.15 文・川崎 誠
お彼岸を前に、お供え物を何にするか迷う方は多いと思います。故人の好きだったお酒を持っていっていいのか、お菓子は置いて帰るものなのか、お花は何がいいのか。
この記事では、お墓のお供え物の基本と、避けたいもの、そして持ち帰る理由をまとめました。宗派や地域、墓地の決まりで違う部分もあるので、そこは「迷ったら管理者やお寺に聞く」を前提にお読みください。
基本の五つ——五供(ごく)
仏教では、お供えの基本を「五供」と呼びます。香(お線香)、花(お花)、灯燭(ろうそく)、浄水(水)、飲食(おんじき・食べ物)の五つです。
お線香は、香りで場を清めるもの。お花は、故人に見ていただくもので、自分たちが向き合う心を整えるものでもあります。ろうそくは、灯りで道を照らすもの。水は、清らかさの象徴。食べ物は、故人と一緒にいただく気持ちの表れです。
全部そろえなくても構いません。お線香とお花があれば、お参りとして十分です。
食べ物・飲み物は何がいいか
決まりはなく、故人が好きだったものが一番です。お菓子、果物、お酒、コーヒー。生前によく食べていたものを持っていく方が多いです。
ただし、日持ちと扱いやすさは考えてください。墓地で袋を開けて供え、お参りが終わったら持ち帰るので、崩れにくく、袋や器に入ったものが向いています。
お酒を墓石にかける習慣が一部にありますが、石の変色やしみの原因になるので、かけずに器に注いで供えるのが安全です。
お花の選び方
菊、カーネーション、りんどう、スターチスなど、日持ちのする花が定番です。故人が好きだった花なら、種類にこだわらなくて構いません。
避けた方がいいと言われるのは、とげのあるもの(バラなど)、毒のあるもの、香りの強すぎるもの、散りやすいもの。ただし故人がバラを好きだったなら、とげを取って供える方もいます。決まりというより、配慮の目安です。
遠方でなかなか来られない場合は、造花という選択もあります。考え方は「お墓に造花は失礼?」の記事に書いています。
避けたいもの
肉や魚などの生もの。傷みやすく、においで動物を呼びます。仏教では殺生を連想させるとして避ける考え方もあります。
においの強いもの。にんにく、ねぎ類など。
そして、缶や瓶、ペットボトルをそのまま置いて帰ること。中身が腐り、容器が風で転がって隣のお墓を傷つけることがあります。
なぜ持ち帰るのか
お供えした食べ物や飲み物は、お参りが終わったら持ち帰るのが基本です。理由は三つ。
一つ目は、鳥や動物が荒らすから。カラスや猫が食べ物を散らかし、お墓も周りも汚れます。二つ目は、腐って石にしみがつき、においが残るから。三つ目は、隣のお墓や墓地全体への迷惑になるから。多くの墓地で「お供え物はお持ち帰りください」と掲示されているのは、このためです。
持ち帰ったものは、家でいただいて構いません。故人と分け合っていただく、という考え方です。「下げたものを食べるのは失礼」ということはありません。
お彼岸のお供え
お彼岸には、春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」を供える習わしがあります。同じものを、春は牡丹、秋は萩の花にちなんで呼び分けたものです。
決まりではありませんが、季節の区切りとして供える方は多く、お参りのあとに家族でいただくのが自然な形です。お彼岸の期間や意味は「2026年秋のお彼岸」の記事に書いています。
つなぐのお参りでは、お花とお線香をこちらで用意します
つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。お花(造花)とお線香はこちらで用意し、お参りのあともお花はお墓に残してまいります。「父の好きだった飲み物を供えてほしい」といったご希望があれば、事前にお聞きして用意し、お参りのあとは持ち帰って処分するところまでお受けしています。
よくある質問
問:お供え物の数や量に決まりはありますか。——答:ありません。一つでも構いません。大切なのは、故人を思って選んだかどうかです。
問:お花は左右両方に必要ですか。——答:花立てが二つあるお墓では左右に供えるのが一般的ですが、一束を片方だけでも失礼にはあたりません。
問:お線香は束のままあげていいですか。——答:宗派によりますが、束のままでも数本でも構いません。火が消えるまで見届けてから帰ると安心です。
まとめ
お供えの基本は、お線香・お花・ろうそく・水・食べ物の五つ。食べ物は故人の好物を、日持ちと扱いやすさを考えて。生ものとにおいの強いもの、容器の置き去りは避ける。お供えした食べ物は持ち帰って、家でいただく。お彼岸なら、おはぎを。
何を供えるかより、供えるときに故人を思い出しているか。それがお供えの中身です。