
2026.09.17 文・川崎 誠
お墓参りで一番手間取るのが、お線香の火です。風で消える、ライターの火が指に近くて熱い、束のまま火をつけたら煙で目が痛い。慣れた方でも、風の強い日は苦労します。
この記事では、お線香とろうそくの扱いを、火をつけるところから帰るところまで順番にまとめました。本数や立て方は宗派で違います。ここに書くのは一般的な形で、家のやり方があればそちらを優先してください。
なぜお線香をあげるのか
お線香の香りは、場を清め、お参りする人の心を整えるものとされています。仏教では、香りは故人の食べ物になるという考え方もあり、お供えの基本「五供」の一つに数えられます。
ろうそくの灯りは、故人の道を照らすもの。実用的には、お線香に火を移すための種火でもあります。だからお線香より先に、ろうそくに火をつけます。
火のつけ方——順番はろうそくが先
まずろうそくを立て、ライターかマッチで火をつけます。次にお線香を持ち、先をろうそくの炎に当てて火を移します。ライターで直接お線香につけても間違いではありませんが、ろうそくの方が炎が安定していて、風の中でもつけやすいです。
お線香は、束のままつける方法と、一本ずつつける方法があります。束のままなら、帯を外さずに先をそろえて炎に当て、全体に火が回ってから帯を外します。煙が多く出るので、顔を近づけすぎないようにしてください。
火がついたら、炎が上がっている状態のまま香炉に立てたり置いたりせず、炎を消して赤い火だけにします。炎のままだと、お線香が早く燃えて折れやすくなります。
消し方——口で吹かない
お線香の炎を消すときは、口で吹き消さず、手であおぐか、お線香を軽く上下に振って消します。仏教では人の息は穢れとされ、仏さまに向けるお線香に息を吹きかけるのは避けるべき、という考えからです。
作法の話だけではなく、口で吹くと灰が飛んで顔にかかることもあります。手であおぐ方が安全です。
本数と立て方の目安
本数は宗派によって違います。一般によく紹介される目安は、天台宗と真言宗は三本、浄土宗と曹洞宗、臨済宗は一本、日蓮宗は一本または三本、浄土真宗は一本を折って寝かせる、というものです。ただし、同じ宗派でも地域やお寺、家によって違いがあります。
分からないときは、束のまま、または数本をまとめて、香炉に横に寝かせる形で構いません。お墓の香炉は「香炉」と呼ばれる箱型で、寝かせて置く前提のものが多いです。立てる穴のある香炉なら立てます。
本数を気にしすぎて手が止まるより、火をつけて手を合わせることが先です。
帰るとき、火はどうするか
お線香は、途中で消さずに燃え尽きるまで置いておくのが一般的です。ろうそくは、帰るときに必ず消します。手であおぐか、ろうそく消しがあればそれで。風に任せて消えるのを待つ必要はありません。
お線香も、周りに枯れ草や落ち葉があると火が移ることがあります。秋は乾いた落ち葉が多いので、香炉の周りをきれいにしてから火をつけ、火のついたお線香が香炉の外に出ていないことを確かめてから帰ってください。急ぐときは、お線香を香炉の中に寝かせて、ふたがあればふたを閉めます。
使ったマッチの軸や、お線香の袋は持ち帰ります。
風の日、雨の日の工夫
風が強い日は、ろうそくの火がつきません。風よけのついたライター(ターボライターや、筒で火を囲む形のもの)があると楽です。手や体で風をさえぎり、香炉の中で火をつけるのも一つの方法です。
束のまま火をつけると、一本ずつより風に強くなります。ついた後に一本ずつばらして寝かせても構いません。
雨の日は、お線香が湿ると火がつきません。袋から出すのは火をつける直前に。ふたつきの香炉なら、火をつけて中に寝かせ、ふたを閉めれば雨の中でも燃え続けます。どうしても火がつかないときは、無理をせず、お線香を供えるだけで手を合わせてください。
つなぐのお参りでは
つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。お線香とろうそくは、この記事のとおり、ろうそくから火を移してあげ、火が落ち着くまで見届けてから帰ります。「うちは三本を立てる」「浄土真宗なので寝かせる」といった家ごとの決まりは、事前にお聞きしてそのとおりにいたします。ご家族には画面越しに、お線香の煙が上がるところからご一緒いただけます。
よくある質問
問:ろうそくを持っていない場合、ライターだけでいいですか。——答:構いません。ライターで直接お線香に火をつけて問題ありません。ろうそくは「あるとつけやすい」ものです。
問:お線香が余ったら、お墓に置いて帰ってもいいですか。——答:持ち帰ってください。雨で湿ると使えなくなり、袋がごみになります。
問:香炉に前の人のお線香の燃え残りがあります。捨てていいですか。——答:捨てて構いません。掃除の一部です。灰は墓地の決まりに従って処分してください。
まとめ
火はろうそくから移す。炎は口で吹かず手であおいで消す。本数は宗派の目安があるが、家のやり方が優先。ろうそくは帰るときに必ず消し、お線香は燃え尽きるまで置く。風の日は風よけライター、雨の日はふたつきの香炉。
うまく火がつかない日は、お線香を供えて手を合わせるだけでも、お参りです。