
2026.09.18 文・川崎 誠
お彼岸の前、花屋さんやスーパーの店先に「仏花」の束が並びます。あれを買えば間違いないのは分かっていても、「故人はバラが好きだった」「菊ばかりで寂しい」と思う方も多いはずです。
この記事では、お墓のお花の選び方を、定番、避けたい花、自由に選んでよい範囲、長持ちのコツの順にまとめました。宗派や地域、墓地の決まりで違う部分があるので、迷ったらお寺や管理者に聞く、を前提にお読みください。
菊が定番とされる理由
お墓のお花といえば菊。理由は主に三つです。一つは、花もちがよく、屋外でも長く形が保てること。二つ目は、香りが穏やかで、虫がつきにくいこと。三つ目は、古くから高貴な花とされ、邪気を払うと考えられてきたことです。
つまり菊は「決まりだから」ではなく、「お墓という場所に向いているから」定番になりました。ここを押さえておくと、他の花を選ぶときの基準にもなります。屋外で長くもち、においがきつくなく、散らかりにくい花なら、菊でなくても構わない、ということです。
スーパーの仏花の束は、菊にカーネーション、リンドウ、スターチス、季節の花が組んであることが多く、そのまま供えられるように作られています。迷う日は、これで十分です。
避けたいとされる花
とげのある花。バラやアザミなどです。とげが「傷つける」ことを連想させるため、また供えるときに手を切りやすいため、避けるのが一般的です。どうしても供えたい場合は、とげを取ってから供える方もいます。
香りの強い花。ユリ、クチナシ、ジンチョウゲなど。周りのお墓の方が気になることがあり、花粉が墓石に落ちてしみになることもあります。ユリは花粉を先に取っておけば供えられます。
毒のある花。彼岸花、スズラン、スイセン、トリカブトなど。名前に「彼岸」とつく彼岸花も、球根に毒があるので供え花には向きません。
散りやすい花、傷みが早い花。花びらがぽろぽろ落ちる花は、墓石や隣の区画を汚します。真夏の暑い時期は、どの花も傷みが早いので、菊のような強い花を中心にすると安心です。
これらは「絶対に禁止」ではなく「避けた方が無難」という位置づけです。故人が好きだった花なら、とげや花粉を処理して供える形で構いません。
故人の好きだった花を供えてもいいか
構いません。お花は故人に見ていただくもので、供える人の気持ちを表すものです。避けたい花に当たらなければ、好きだった花、季節の花、庭に咲いた花、どれでも失礼にはあたりません。
色については、四十九日までは白を中心にするのが一般的で、それを過ぎれば明るい色を交ぜて構わないとされています。お彼岸やお盆のお参りなら、色のある花で明るく整えて問題ありません。
本数は、三本、五本、七本と奇数にする習わしがあります。これは仏花の束を組むときの目安で、一本でも二本でも失礼ではありません。
生花を長持ちさせるコツ
茎は、花立てに入れる直前に水の中で斜めに切ります。切り口が新しいほど水を吸います。下の方の葉は、水に浸かる部分を取り除いておくと、水が腐りにくくなります。
花立ての水は、口いっぱいまで入れず、少し少なめに。多すぎると茎が腐りやすく、風で倒れたときにこぼれます。花立ての中を先に洗っておくのも大事です。
夏場や日当たりのよい墓地では、どんな花も数日でしおれます。次に来られる日が遠いなら、造花にする、または枯れたら管理者が処分してくれる墓地かを確認しておくと、後を気にせず帰れます。
造花という選択
造花を失礼と感じる方もいますが、次のお参りまで間があく場合、枯れた生花を残すより、きれいな造花が立っている方が、お墓のためにも隣の区画のためにもよい、という考え方があります。
つなぐでは、お参りのお花を基本的に造花にしています。遠くのご家族が頼まれるお参りは、次に誰かが来るまでの期間が長いことが多いからです。造花についての考え方は「お墓参りに造花は失礼?」の記事にまとめています。
つなぐのお参りでは
つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。お花は用意した造花の中から選んでいただくか、「おまかせ」ならお話を伺って選び、その理由をご報告に添えます。生花をご希望の場合は、実費でご用意します。「うちは菊だけ」「母は黄色が好きだった」といったことをお聞かせください。
よくある質問
問:花立てが一つしかありません。左右そろえないと失礼ですか。——答:失礼にはあたりません。一束を一つの花立てに供えるお墓もたくさんあります。
問:前に供えた花が枯れて残っています。捨てていいですか。——答:捨ててください。枯れた花を取り除くのは掃除の一部です。墓地の指定の場所に出すか、持ち帰ります。
問:スーパーの安い仏花でも失礼ではないですか。——答:失礼ではありません。値段より、お参りに来たことの方が大事です。
まとめ
菊が定番なのは、屋外で長くもち、香りが穏やかで、散らかりにくいから。避けたいのは、とげ、強い香り、毒、散りやすい花。それ以外は、故人と季節で選んで構いません。茎は水の中で切り、花立ての水は少なめに。次に来る日が遠いなら造花も一つの答えです。
何を供えるかより、供えに来たこと。お花はその気持ちの形です。