
2026.09.19 文・川崎 誠
お墓をきれいにしたあと、「写真を撮って兄に送ろう」と思ったとき、ふと手が止まる。お墓の写真を撮るのは失礼ではないか。バチが当たると聞いたことがある。そんな声をよく聞きます。
この記事では、お墓参りで写真を撮ることについて、一般的な考え方と、実際に気をつけたいこと、撮っておくと助かる場面をまとめました。墓地やお寺ごとの決まりが最優先なので、掲示や管理者の案内があればそれに従ってください。
撮ること自体は失礼ではない
お墓の写真を撮ることを禁じる教えは、仏教にも神道にもありません。「お墓を撮ると魂が写る」「縁起が悪い」といった話は、俗説の域を出ないものです。実際、お墓の建立時や法要のときに、石材店やご家族が記念に撮ることは昔から普通に行われてきました。
遠くに住む家族に「今日お参りしてきたよ」と送る写真は、むしろお墓参りの一部として自然なものです。行けなかった人が、その写真で手を合わせることもできます。
ただし、撮ってよいかどうかと、どう撮るかは別の話です。次の点だけ気をつけてください。
気をつけたいこと
他のお墓を写さない。隣の区画の墓石や、そこに刻まれた名前が写り込むと、他の家のことを勝手に記録することになります。自分のお墓を正面から、または寄りで撮れば、ほとんど入りません。広く撮りたいときは、他家の名前が読めない角度や距離を選びます。
他の参拝者を写さない。お参りに来ている人の姿は、その人にとって私的な時間です。人がいるときは、いなくなるのを待つか、写らない向きで撮ります。
撮影が禁止されている墓地もある。寺院の境内や一部の霊園では、撮影を制限しているところがあります。入口の掲示を見て、分からなければ管理者に聞いてください。
撮るのはお参りのあとに。掃除をして、お花とお線香を供え、手を合わせる。その一連が終わってから撮ると、お参りの気持ちが途切れません。撮影のために来たのではなく、お参りに来た記録として撮る、という順番です。
SNSに載せるときは
家族や親しい人に送るのと、不特定の人が見る場所に出すのとでは、話が変わります。
墓石に刻まれた家名や戒名、俗名、没年月日は、個人を特定できる情報です。それが読める写真を公開の場に出すと、ご先祖や親族の情報を知らない人にも見せることになります。載せる場合は、名前の部分が写らない構図にするか、ぼかしを入れてください。墓地の場所が分かる情報(寺名や霊園名)も同様です。
また、お墓の写真を見て気分を害する人もいます。お参りの報告を投稿するなら、お墓そのものより、供えたお花や、その日の空、墓地からの景色の方が、見る人を選びません。
撮っておくと助かる場面
掃除の前と後。どれだけきれいになったかが分かり、次に来るときの目安にもなります。苔や汚れの進み方も、写真を並べると見えてきます。
墓石の状態。ひび、傾き、目地の隙間、花立ての緩みなど、気になる箇所を撮っておくと、石材店に相談するときに説明が早いです。
お墓の場所。広い墓地で「どこだったか」と迷うことは珍しくありません。入口からの道筋や、目印になるもの(大きな木、給水所、区画の番号札)を撮っておくと、次に来る人が助かります。
刻まれている文字。戒名や没年月日を写真で残しておくと、法要の準備や過去帳の確認のときに、現地へ行かずに済みます。
そして、その日の空。お参りの記録として、お墓と一緒に空を一枚撮っておくと、後で見返したときにその日のことを思い出せます。
つなぐのお参りでは
つなぐは広島県内のお墓へ伺い、清掃とお供えをしたうえで、ビデオ通話でご家族とご一緒にお参りする会社です。お参りのあとに「お参りのご報告」として、掃除の前後、お供えしたお花、お参りの様子、その日の空の写真をお届けしています。撮るのはご依頼いただいたお墓だけで、隣の区画や他の参拝者は写しません。ホームページなどに写真を使わせていただく場合は、必ず事前にお伺いし、家名や戒名にはぼかしを入れています。
よくある質問
問:自分がお参りしている姿を撮ってもらってもいいですか。——答:構いません。ご家族に見せる記録として自然なことです。他の参拝者が写らないようにだけ気をつけてください。
問:動画は失礼ですか。——答:写真と同じ考え方です。禁止されていない墓地で、他のお墓や人を写さなければ問題ありません。
問:お墓の写真を待ち受けにするのは変ですか。——答:変ではありません。ご先祖の写真を身近に置くのと同じです。気になるなら、お墓と一緒に撮った空の写真という手もあります。
まとめ
お墓の写真を撮ること自体は失礼ではない。気をつけるのは、他のお墓と他の参拝者を写さないこと、墓地の決まりに従うこと、公開の場に出すなら名前をぼかすこと。掃除の前後、石の状態、場所の目印、刻まれた文字は、撮っておくと後で助かります。
お参りは手を合わせることが本体で、写真はその日の記録です。順番さえ間違えなければ、写真はお墓参りを遠くの家族につなぐ道具になります。